被災地に本を

このたびの震災の被害に遭われた皆さまに心よりのお見舞いを申し上げます。
被災地の様子を眼にするにつけ、震災に遭われた方々、特にお子さんに本を届けたいという気持ちが強くなりました。感情を共有することも、大勢の中にいながら一人になることもできるのが「本」です。同様の取り組みをされている方も少なくありませんが、残念ながら届け先も手段もあてのないのが私どもの現状です。そこで、自分たちが出来る範囲で実行していきたいと思います。
被災地へ救援物資を運ばれる方、個人でお送りになる方、本をご一緒させていただけませんか。
・古本です
・子供の本が中心です
・数冊〜数十冊です
・本は選べません(ジャンルのご希望にはある程度可能です)
・無償です
・なるべく取りにきていただきたいです
学校等、大口のご希望はご相談下さい。



事前のご連絡をお願いいたします。
公文堂書店鎌倉店 0467(22)0134 11時から18時まで(毎週木曜日・第三水曜日は休み)
books%kohbundo.com(%を@に変えて下さい)

花見

桜が、毎年違う意味を持つ。



あの春、能「善知鳥」を観たあとで、近くにある京都御所でお花見をした。シテ(主役)を勤めた師匠は後からの合流で、やがて携帯電話から連絡が来た。
「どこらへんにおるんや?」
「近衛邸(跡)です。近くに来たら『うとうー』って言ってください。『やすかたー』って答えますから」



あの春、師匠と友人と後輩二人とで「細雪ごっこをした。みんなで着物を着て平安神宮に行って、瓢亭は無理だから細見美術館の下でシャンパンを飲んで、都踊りは見ないで木屋町で飲んだくれて、最後はいつもの店で酒に溺れてー。酒の記憶か花の記憶か。



師匠は予定していた小塩(桜の能)を舞わずに逝ってしまって、棺には温室咲きの桜が添えられて、私は「まだ一月だっつーの」と口汚く一人で怒っていた。



それからまた春が来て、また近衛邸跡でお花見をした。「ためしてガッテン!」のから揚げを作った。あのから揚げは手間はかかるけど最高だね。後輩も、友達も、笛の師匠もいて、とてもとても楽しかった。私は皆の前で言わなきゃいけないことがあって、前半ものすごくたくさん飲んで後が大変だったんだ。あれが、私の最後の京都の花見。



今年の花は鶴岡八幡宮で見た。
その模様はまたいずれ。今日は、あれから一ヶ月。鎌倉では宗教宗派を超えた、追善供養・復興祈願祭があった。舞殿にてお祓いを受ける僧侶や神父牧師、場に響く祝詞念仏賛美歌。数珠を握る人がお説教に涙する、祈りの場。