危険な扉

公文堂日野店の自動ドアの電源は切られています。


そもそも日野店は倉庫の意味合いが大きくしかも大整理中のため、「どうしても」というお客様以外は入店をお断りしているのです。
雪崩や遭難は日常茶飯事の店ですしね。


そんなわけで表から店に入るには、重い重い自動ドアを手動で開けなくてはなりません。
開けるのはともかく、問題は閉じる時です。
手での開閉など考えて作られてはいませんから、ガラス部分にぎゅっと手を押し当てて力を込めて閉じるか、端を持って閉めることになります。
後者の方が力はいりませんが大変危険で、そっと、ゆっくり閉めないと手を挟まれてしまうのです。
ですからお客様がドアを閉めようとするときには慌てて「こちらで閉めますので」とお止めすることになっています。


いつか、誰かが怪我をするのではないかと、店長も含め関係者全てが恐れを抱いていました。
そして、その不安がついに現実となる日が来たのです!
じゃじゃーん。
被害者はこの私!!


考え事をしながら自動ドアを手動で閉めたら挟まれました。
それもかなり勢いよく。


人間の指って、あんなに腫れるものなんですね。
倍の太さになりましたよ。
一瞬「これはやばい」と思いましたが、
そこは骨折歴十数回を誇るわたくし公文堂(娘)。
「あーこりゃ折れちゃいないな」
すぐに分かりました。勘で。


「散歩展の前の忙しい時になんでやねん!」
と自分を責めたりしても仕事が片づくわけではないので痛みに耐えて頑張りました。
搬入で、縛った本が束から崩れたら、それは多分このときに用意した本です。


数日が経って、私の中指はまだ親指ほどの太さがありますが、
真っ赤に腫れている部分も減り、
痣となって紫だの青だの黒だのになった部分と相成って混沌を表現しています。


日野店にお越しの際は、ドアの開閉は従業員にお任せ下さいませ。