歯医者に何が起ったか

歯医者に行ったらいつもは最低でも三人はいる先生が今日は院長先生しかいませんでした。歯科技工士や助手の顔ぶれもいつもと違います。そのせいか待合室で三十分、診察室で三十分待たされたあげくに、今までの美人先生ではなく院長先生に診て頂きました。
そして先生は大変にイライラしているようでした。患者への対応は優しいのですが、独り言が多くとにかく助手へ怒っています。
「しまうときは指差し確認をしないとだめでしょう」「確認はしました」「じゃあ何でちゃんとできてないの。そっちの方が問題だ」
「いつまでも学生気分でいてもらっちゃ困るよ」
隣の診察台で待っている私はともかく、椅子を倒された顔の真横でそんな会話を交されているおばあさんがかわいそうです。しかしその数分後、私の器具を研磨していた別の技師だか助手とも、
「ここが尖っているでしょ。こんなのが口の中に入れられても君は大丈夫なのか」「はい」「えっ、大丈夫なのか?」「いえ、大丈夫じゃありません」
などという会話を交して私を恐怖に陥れたのでした。
とりあえず私の口の中はばっちり元通り。先生の腕だけは確かで良かったです。



店に帰ってこの顛末を話しますと、店長(父)は
「働いてる人達がストライキでもおこしちゃったんじゃないの?」
などと言います。私はインフルエンザでも流行ったのかと思ったのに。おまけに店員T君まで、
「逃げたのかな」
などと言うではありませんか。次回で終了なのでそんな発言はやめて下さい。最後くらいまたあの美人先生に会いたいものです。