とおくのにほひ

古書にも市場があります。市場は全国にあり、全古書連の加盟店が参加できます。自店では扱わない本を市場に出品して入札や競りで他店に買ってもらうのです。一冊から何百冊一山という単位での取引があります。中でも神田の市場は曜日毎にある程度の分野に別れた市会(例えば和本とか資料とか洋書とか)があって、私はその一つ明治古典会の経営員(市会運営の手伝い)をしています。
明治古典会は地方からの品物がとても多い市会です。毎回全国から丁寧に梱包された本が送られてきます。段ボール箱を開け、品物を出して明細と照らし合せて入札用の封筒をチェックするのですが、箱の中に入っているのは商品だけではありません。動かないように隙間にはプチプチやフワフワ等が詰められていて、中でも一番多いのが新聞紙を丸めたものです。


地方荷を開梱しますと、北から南まで様々な土地の新聞や広告、ミニコミ誌がざくざく出てきます。私は全都道府県を旅していて、平成の大合併前までは市や郡レベルでしたらどこにあるのかほぼ把握しておりましたので、ただ地名をみるのも楽しいです。まさか荷主さんも東京で経営員が「えっ、あの駅前のスーパー、撤退しちゃうの!」などと言いながら開梱しているとは思いますまい。ちなみに今までに一番驚いたのは、京都駅の西側、梅小路に水族館を造るという記事でした。なんで京都市内に水族館やねん。




おまけ:手作り感たっぷり輸送箱