だってそれは恋だもの。

kohbundou2010-07-26

 子供の頃から養命酒を飲んでいます。そのせいで酒に強くなったという説まであるくらいです。あまり体が丈夫ではなかったので鰻も嫌になるくらい食べさせられましたし、謎の健康食品(その頃あまり一般的ではなかったプルーンとか)もいろいろ食べました。その中でも忘れられないのが、信州で飲んだ…食べたもの。母の知り合いのやっている料理旅館でのことでした。厨房で料理をするところを見せてくれるというので、当時小学生だった私も何の疑いもなく付いていったのです。そこで、私は初めてその魚が捌かれる場面を見ました。
 それまでだって魚を捌くところを見たことがなかったわけではありません。でもまな板にやってきたのは、まさしく鯉!でかい。網の中でもびちびち跳ねている。板前さんはそれをまな板の上にのせ、いきなり包丁で鯉を叩いたのです。鯉、気絶。千枚通しのような器具で固定して、頭を落としてその血を盃にとりました。そしてそれを飲まねばならぬのは、私。「なんで?なんで私が飲むの?」という私に、「だって鯉だもの。貧血に良いんだよ」と言う大人。
 その生き血はすぐに固まって、赤いマシュマロみたいなかたまりをごっくんしました。大人になった今でしたら、鯉だろうが蝮だろうが健康のためなら生き血も飲みますよ。でも鰻だけは勘弁!今日も蜆汁にしておきます。