一番怖い買い入れ

今日は鎌倉へ店長(父)と本を買い入れに行きました。
わたくし買い入れを手伝い始めてから約二十年間、こんな怖い思いをしたことはありません。


私はそのお宅に行くのは始めてでした。
ずいぶんたくさんの本を処分されると言うことで、数回に分けて引き取りに伺っていた、今日はその最終回。
捨ててしまうような本は車へ、商品になる本は母屋の縁側にいる店長(父)のところへ、倉庫から出し庭を突っ切って運ぶのが私の仕事です。
さて働くかと倉庫に向かう私に、家の奥さまがスプレーを手渡しました。


虫除けかな?


鎌倉は緑も虫もたくさん居ます。
しかしそのスプレーは、虫は虫でも蜂撃退スプレーだったのです。


よく見ると私の視界の中にも二匹、アシナガバチが飛んでいました。
ひえええー。
実は数日前にパートさんがアシナガバチに七カ所も刺され、痛い痛い体験をリアルに聞かされたばかり。


手加減したらやられる!
もし息の根を止めなければ反撃されるかも!!


私は思いの丈をスプレーに込め、木の周りを飛ぶ蜂に向かって噴射しました。
ひええええー。
出るわ出るわ、葉の陰から驚いた蜂がじゃかじゃか飛び立ちます。


「ああ、これは巣を作ろうとしているみたいですね」


と、農家生まれ農家育ち自然科学に詳しい店長(父)。


「あら、でも巣はあちらにあるんですよ」


奥さまの声に視線を上げれば、隣の家の二階通気口から次々飛び立つ蜂の姿が!!
ひええええええええー。
更に追い打ちをかけるような会話が続きます。


「あれはここにいるアシナガバチとは種類が違いますよ」
「ええ、庭師さんは『かなり危ない蜂』と仰っていました」
「そうですね、スズメバチです」


ちょっと待ってそんなにのんびりする話ですかー。


目の端に何か飛ぶものが見えるとその度にびくっと硬直する私。
子供の頃は変なものを感じる体質でしたが、生き物の方がよっぽど怖いことを再確認した今日の買い入れでありました。