もう一人の私

実家にある自分の蔵書を整理していると、
本の中から「禁酒」について書かれた自分の文章がでてきました。
どうやら反省するほど呑んだのち、戒めのために書いたもののようです。
酔っぱらいがすぎると勿論記憶を失うのですが、
こんなものを書いたこと自体忘れていました。
だから三十になっても酒で失敗するんだわ。


とは言え最近ではそんなことも少なくなりました。
最後にやっちまったのは数年前にコクテイルで呑みすぎて(後半やや記憶なし)、
神保町の友達の家に泊まって(このあたりまったく記憶なし)、
朝になって帰宅する途中でどうしても我慢できなくて道ばたに粗相をしてしまったときでしょうか。
通勤途中の人もちらほら見える朝八時くらいだったかと思います。
ああいっそその記憶もなくしてしまいたい。
神保町に行くたびに思い出すのです。


失われた記憶は何処に行ってしまうのでしょう。
同じ酒を飲んでもよみがえるはずはなく、
むしろ有る記憶も忘れて再び呑みすすんでしまいます。
きっと酔った私は別の私で、そのときの記憶は彼女しか知らないのです。
いつでも一緒なのに仲がいいのか悪いのかさえわかりません。
いつか二人で対談でもしてみたいと思います。