不思議な訪問者

「十何年かぶりに来たけどこの店は変わらないねー」
「いまどき古本屋なんてはやらないでしょ、この棚の本なんて昔のままだもんな」(二ヶ月前に入れ替えたばかり)
「学生の頃だからもう三十年くらい前かな、ここに本を売ったこともあるんだよ。もうないだろうなぁ、あのとき買いたたかれた本」
言葉の端々にさりげなく散りばめられた針はなんだったのかしら。もちろん、何も買わずにお帰りになりました。